○おとこのこ○
   

   「おかあさん、どうしておかあさんは、おかあさんなの?」
「それは、おかあさんだからよ」
 こどもとおかあさんが、にわのさくらをみながら、おはなしをしています。
「それじゃ、さくらはどうしてさくらなの?」
「それは、むかしのひとが、さくらってなまえをつけたからよ」
 かぜがふいて、さくらのはなびらが、いっぺんにたくさんふってきました。
「きれい」
 おかあさんが、じょがくせいのようなこえでいいました。
「おかあさん、きんぎょはどうしてあかいの」
「くろいのもいるのよ」
「それじゃどうしてくろいの?」
「それはそのきんぎょの、おとうさんとおかあさんが、きっとくろかったからだとおもうわ」
「それじゃあ、ぼくもおおきくなると、おかあさんみたいになっちゃうの?」
「あなたは、おとこのこだから、おとうさんみたいになるわよ」
「フーン」
 おとこのこは、だまってしまいました。でもこころのどこかでは”こまったな”とおもったり”うれしいな”とおもったり”やっぱりいやだな”などとかんがえていました。

出典:サンリオ「おはようどうわ(1)」